住所、氏名等の秘匿決定があった場合、秘匿事項届出書面の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付の請求をすることができる者は、当該秘匿決定にかかる秘匿対象者に限られます(民事訴訟法第133条の2・第1項)。
ただし、秘匿決定により秘匿対象者以外の者の閲覧等が制限される対象は、秘匿事項届出書面に限られます。
つまり、証拠資料等に秘匿決定の対象となった住所又は氏名等やこれらを推知する情報が含まれていたとしても、当然には秘匿対象者以外の者の閲覧等が制限される対象になりません。
したがいまして、当事者等が、主張書面や陳述書等の証拠を提出するに際しては、自分が提出するものにマスキングをして、秘匿事項や推知事項が表れないように注意する必要があります。
やむを得ず提出する場合には、秘匿事項記載部分を特定して、閲覧等の制限の申立をして、閲覧等の制限の決定を受ける必要があります。
すなわち、裁判所は、申立てにより、決定で、訴訟記録等中秘匿事項届出書面以外のものであって秘匿事項又は秘匿事項を推知することができる事項が記載され、又は記録された部分の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求をすることができる者を当該秘匿決定にかかる秘匿対象者に限ることができます(民事訴訟法第133条の2・第2項)。