【事案の概要】
Aは心臓性脚気の治療のためB医師の診察を受けたが、その間になされた皮下注射の結果、右手の注射部位が化膿腫脹し、機能障害が残ったとしてAがBに対して訴訟提起

【原判決】
本件原告の機能障害は、甲(注射液の不良)又は乙(注射器の消毒不完全)のいずれかについての過誤によって生じたものであり、そのいずれにしても、被告が注射の際に医師としての注意を怠ったことに起因して生じたものであると認定して、被告に過失があるものと認めた。

【本判決】(要旨)
甲事実および乙事実がともに診療行為上の過失となすに足るものである以上、裁判所が甲または乙のいずれかについて過誤があったものと推断しても、過失の事実認定として不明または未確定というべきではない。

本判決は最高裁昭和39年7月28日判決で引用されている最高裁判決であり、過失を構成する事実を厳格に一つに特定することまでは必要でない旨判断した判決です。

 

医療事件

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